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科学からのヒント

図1自閉症における非定型的視覚認知障害の機序(Yamasaki et al., Front Neurosci, 2017)

脳の情報処理は図のような大きく分けて大脳皮質によるもの(背側経路)と脳幹・大脳辺縁部によるもの(腹側経路)があり、相互の連携によって構成されています。ASDでは背側経路の未発達と腹側経路の強化が見られ、それが非定型的な知覚処理を構成していると考えられます(Yamasaki et al., Front Neurosci, 2017)。
そしてそれは、弱点でもあり、逆に特徴的な強みが現れる場合があります。MottronらのEnhanced Perceptual Functioningモデルでは、局所的視覚・聴覚処理、低次知覚弁別、高次処理に対する知覚処理の相対的自律性などが整理され、こうした知覚特性が一部のサヴァン能力とも関係する可能性が提案されています。

「サヴァン」研究から見えてきたこと
 
「私たちの仮説」

「私たちの仮説」

また、背側(大脳皮質)の発達・成熟が進むと、そこから腹側(大脳辺縁系)に向けて抑制性の神経投影(トップダウン・コントロール)が強く伸びていきます。これにより、衝動的な情動行動(腹側の働き)が、理性的思考(背側の働き)によって適切にコントロール(抑制)されるようになります。ASD、LD,など非定型発達では、この抑制が十分に働かず、上記のような非定常的な情報処理を行う可能性があります。

すなわち、正常発達では、

    社会・言語など高次機能の成熟 

    → 情報処理の統合・安定化のために抑制ニューロンが働く

    → ある種の能力形成(大脳辺縁系など)の「窓」が狭くなる?

のに対し、

一部の非定型発達では、

    発達タイミングの非同期性 

   → ある種の知覚・認知処理の自律性が比較的長く残る?

   →「伸びる窓」が長く残る?

という「能力形成窓延長仮説」を考えました。ただし、これは、実証されておらず、エビデンスの不十分な仮説であることをお断りしておきます。